12冊目。ヴェニスの商人

20180415091200f0a.jpg


このふさぎの虫、どうしてそいつに取りつかれたのか、どうしてそんなものを背負い込んだのか、そもそも何がもとで、どこから生じたのか、それがさっぱり見当がつかない。とにかく、気はめいるばかり、おかげですっかり腑抜けのてい、自分で自分の心を掴みあぐねている始末なのだ。

悲しいのは楽しくないからだ。となれば、雑作はない。大いに笑って跳ねてこうも言えるだろう。僕は楽しい、悲しくないからだ。

この世はこの世、ただそれだけのものと見ているよ。つまり舞台だ、誰も彼もそこでは一役演じなければならない、で、ぼくの役は泣き男というわけさ

僕は道化役とゆこう。陽気に笑いさざめきながら老いさらぼうて皺をつけ、酒びたしで肝臓をほてらせるほうがいい。そのほうが苦しい溜息をついて、その一息ごとに心臓を凍らせるより、よほどましだ。

熱い血のかよった人間が、石膏細工の爺様よろしく、どうしてじっとしていなければいけないのだ?

世の中には妙な奴がいて、顔中一杯に薄皮をかぶり、まるで淀んだ水溜りよろしく意固地に押し黙っているが、それというのも世間から、分別がある、落ち着いている、考え深いなどと評判をたてられたいだけのこと。そいつに一度でも口を開かせてみるがいい、とんだはた迷惑、それを聴いたら、たちまち地獄落ちだ、たとえお相手が兄弟でも、つい馬鹿野郎とどなりつけずにはいられぬだろうからな。

グラシャーノーの無駄口ときたら、まさに窮るところなし、ヴェニス中、あの男に及ぶものは一人もいないよ。筋の通った話はめったにない。一俵の籾殻の中にまぎれこんだ一粒の小麦みたいなもの、見つけだすのに一日がかり、見つかったはいいが、見ればその甲斐なしという代物さ。

あまり御馳走を召しあがりすぎると、食べ物もなく、ひもじい思いをしているものと同様、やはりお体を悪くなさるとか、そうなると、身分もいい加減のところのほうが、いい加減のしあわせが手にはいるというわけでございましょう。度を過せば白髪を招き、程を守れば長寿を保つ。

もし善を行うのがそれを知ることと同じぐらい易しいものなら、小さい礼拝堂はたちまち大伽藍と化し、貧しい小屋も立派な王宮に変わるだろう。

いまの若さでああ人前もなくふさぎこんでいるようでは……ああいう人たちと結婚するくらいなら、口に骨をくわえた死人の首と暮らすほうが、まだまし。

あの人、一番いいときで、少しばかり人間以下、一番悪いときは、獣より少しばかりましというお人なのだから。

自分の夫を選ぶのに、ただ浅はかな娘心に浮かされて、見た目の好悪で品定めをしようとは思いませぬ。

俺の舌ときたら、てんで言うことをきいてくれないんだからな!

控えめという冷水をほんの数滴でいい、打水して、その煮えたぎる浮いた気分をおさえてもらいたのだ。

衆人の探し求めるもの!が、その「衆」は愚衆の意味かもしれぬ。かれらは見せかけだけで物を選ぶ。愚かな目の教えるまま、それ以上、深く究めようとはしない。内側が見えないのだ。

昔からの言い伝えにうそはございません。

呆れた奴だ、爺さん、棺桶に片足つっこんでいるその年で、まだむら気を起こす血や肉があるのかい?

外観は中身を裏切るものだ。いつの世にも人は虚飾に欺かれる。裁判でもそうだ、どんないかがわしい曲がった訴訟でも、巧みな弁舌で味付けすれば、邪な心のひだを消しされるではないか?宗教でも同じこと、どんな異端邪説でも、殊勝げな坊主がそれを祝福し、聖書の言葉に照らして、もっともらしく解説しさえすれば、その忌まわしさも虚飾のかげに隠しおおせるではないか?

あの阿呆、気のきいた言葉をしこたま頭の中に仕込んであるのだ。

木の実も腐ったやつから地に落ちる。ぼくにもそうさせてくれ。

きさまのような奴を生かしておくようでは、法律が悪いのだ!

獣の魂が人間の体にもぐりこむこともあるらしい。その見さげはてた根性は、昔は狼のなかに宿っていたものに違いない。見ろ、きさまの欲が深いこと、狼さながら血に飢えて飽くことを知らぬではないか。

運命の神としては、これでもいつもよりは思いやりがあるほうだ。

いかなる権力も、定れる掟を動かすことはできぬ。ぞれが前例として記録に残されようものなら、のちに、それを盾として次々に乱れが生じ、国を誤るもととなろう。

にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 寂しいサラリーマン・孤独なサラリーマンへ
にほんブログ村
スポンサーサイト
このエントリーをはてなブックマークに追加       

コメント

非公開コメント

プロフィール

アンディ

Author:アンディ
酒を飲むと、やっとものが言えるようになる重度のコミュ障。生きづらいです。夜に酔っ払いながら書いているので、内容や文体が支離滅裂になることがあります。

にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 寂しいサラリーマン・孤独なサラリーマンへ
にほんブログ村

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR